大阪市内の天文史跡めぐり

今週初め(10月9日(月・祝))、大阪市立科学館「友の会」ハイキングサークルの「大阪市内・天文史跡めぐり」というものに参加してきました。
とても勉強になり、楽しいハイキングだったので、写真を織り交ぜて少しご報告させていただきます。

☆     ☆     ☆

集合は、12:30に天王寺動物園の入り口。
爽やかな秋空が広がり、日向では少し汗ばむほどの午後でした。
まず、谷町筋を北へ向かって歩き始めました。初参加のため、とにかく皆さんにくっついていくだけです。
かつて大阪は上町台地と呼ばれる高台が中心地で、すぐ西側に海が迫るウォーターフロントだったそうです。真西に向かって港が開ける都市はあまりないそうで、そんな大阪では太陽が沈むところに極楽浄土があるとする浄土信仰が流行ったそうです。
また、この谷町筋は活断層が走るちょっと危険な地域でもあるそうです。
そんなお話しを聞きながら、第一目的地、統国寺に着きました。

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ここには、間重富(はざま しげとみ)という江戸時代の天文学者のお墓があります。
江戸時代の大阪は町人文化が優れ、多数の学者を輩出していました。
質屋の主人だった間重富(1756~1816)は、当時の最先端の天文学を極め、武士に交じって幕府の改暦事業に従事した人物です。
家業の質屋「十一屋」は11もの蔵をもつ商いをしていたようですが、32歳の時に天文学者麻田剛立(後出参照)の門に入り、以後は家業を番頭以下に任せ、幕府の御用町人として天体観測を担ったそうです。彼の同僚だった高橋至時(たかはし よしとき)の弟子に日本地図を完成させた伊能忠敬がいて、間重富はその伊能忠敬に天文学を教えた経緯があるそうです。
そんな天文学者の眠るこの統国寺は、入り口にベルリンの壁の一部が立てかけられてあり、今では「ベルリンの壁」のあるお寺として有名になっています。

さて、統国寺を後にして、次は四天王寺の西門にたどり着きました。
この西門から東が人間の住む世界で、これより西は極楽浄土に続くという、ここにも浄土信仰が残っていました。
かつては、京都から貴族がわざわざ夕日を見にこの西門まで来ていたそうです。
今では、大阪湾は埋め立てられ高いビルが建ち並びますので、この西門から海に沈む夕日など望むことも出来ない景色となりましたが、巨大な門柱に寄りかかると、ちょっぴり平安時代までタイムススリップした気持ちになりました。
境内では、ちょうど古本市が開催されていて多くの人が訪れていました。
私たちもしばしそちらに気を取られていましたが、次の訪問地、大江神社に向かうことになりました。
この神社にも、やはり夕日を見る舞台が残されていて、浄土信仰が本当に盛んだったことを思い知りました。

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次は、大阪の天文学の立役者、麻田剛立(あさだ ごうりゅう)が眠る浄春寺を訪ねました。
麻田剛立(1734~1799)は、西洋天文学が発達していることを見抜き、鎖国の時代にいち早く天文学を研究した人物です。門下生には優秀な人材が集まり、当時としては最高レベルの研究を行っていたそうです。
研究は弟子たちに受け継がれ、その後の日本の天文学の礎になり、毛並みの変わったところでは、伊能忠敬による日本地図完成という事業にも発展していきました。
さて、その麻田剛立のお墓ですが、写真のように墓石の周りに生前の業績がことこまかく刻まれているユニークなものでした。昔は業績をお墓に書くことはよくあったしきたりだそうですが、この麻田剛立のお墓はとても存在感があり、なにか宇宙と関わりのある人物であることをイメージさせるものでした。

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ここで、地下鉄による移動となり、最終訪問地、大阪歴史博物館へと向かいました。
博物館の前の道には、大きな楠が残されていました。
この地に、日本で初めての理科の専門学校である舎密局(せいみきょく)があったそうです。今の京都大学の前身となるものです。明治2年の開校ということですが、江戸時代後半から明治時代初期の頃は、大阪はかなり先端文化の中心地だったようです。
この舎密局(第三高等中学校と改称)を、当時高等中学校のなかった京都からの嘆願で、大阪の商人たちが売り渡したあたりから、大阪の文化性は失われていったように思われて仕方がありません。

さて気を取り直して、大阪歴史博物館を訪問。今、特別展として「生誕250年 間重富―歴を書きかえた浪花の町人天文学者―」展が開催されています。
この特別展を、今日は同行の大阪市立科学館の嘉数学芸員の解説を聞きながら見学できるという、大変スペシャルな企画です。
墓所でも少しは聞いていた間重富の生い立ちから業績までを、展示されている史料を元に詳しく説明していただきました。
江戸時代の天体望遠鏡や、寛成5(1793)年7月15日の大阪の月食観測記録など、貴重な史料を目の当たりにすることも出来ました。
また、天文測量に長けている人は陸地測量にも長けていることがよく分かる史料も展示されていて、この学問の流れから、日本地図が完成されたことを窺い知ることが出来ました。

最後は、各自で大阪歴史博物館の常設展の方を見学して、16:45に解散となりました。
約30名ほどの参加者だったようですが、とても和やかなサークルで楽しい半日となりました。
皆様、ありがとうございました。

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この記事へのコメント

星湖舎
2006年10月15日 21:33
まだ少し先のイベントですが、11月11日(土)と12日(日)に「こどものためのジオ・カーニバル」というイベントが大阪市立科学館で行われます。
私たちの住んでいる地球のことや宇宙のことなどを、工作や実験を通して、もっと子供たちに知ってもらおうという楽しいイベントです。
今年で7回目になりますが、昨年は3000人くらいの参加者があったそうです。

次の、大阪市立科学館のホームページで、詳しい内容や昨年までの模様が分かりますので、お子様をお持ちの皆様、ぜひご覧になってください。
http://geolo.sci.osaka-cu.ac.jp/geo/index.html
星湖舎
2006年10月20日 00:47
大阪市立中央図書館の1階ロビーで「生誕250周年記念 間重富展」が10月26日まで開催されています。
図書館で開催されるだけあって、大阪歴史博物館とは違い書籍が中心の展示です。中央図書館が所蔵している貴重書庫からの出展もありました。
(大阪市立中央図書館は金曜日が休館日なので要注意)

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